関東地区教育研究所連盟研究協議会において「拡散型教員研修プログラム」を発表

 5月8日(木)、静岡市で開催された関東地区教育研究所連盟研究協議会において、公益財団法人教科書研究センターの榊原範久特別研究員(上越教育大学教授)が『校内研修リーダーを育成する拡散型教員研修プログラムの実践~学習者主体の教科書・デジタル教科書活用の研修を中心に~』というテーマで講演を行いました。 関東地区教育研究所連盟研究協議会は、国公私立教育研究所又はこれに準ずる機関をもって構成される全国教育研究所連盟の地区大会で、教育成果の発表や情報交換を行うなどの相互連携を行うことを目的として、今回は静岡県男女共同参画センターで開催されました。
 2日目の研究協議会に登壇した榊原教授は、令和6年度から行っている教科書研究センターの受託研究事業成果として、「拡散型オンライン教員研修プログラム」を開発し、山梨県教育委員会などと連携して広域展開を図っており、研修実施後の効果測定を含めた実践を発表しました。具体的には、大学と教育委員会が連携して研修計画を立案し、各学校等の代表者を対象に大学教員がオンライン研修を行います。その研修の受講者が各学校に戻り、大学教員から提供されたスライド資料を下にして校内研修の講師になって教員研修を行い、授業実践への拡散を行うというものです。このプログラムは、大学教員及び教育委員会職員が出張することなく、たくさんの学校教員を対象にした研修を展開することができることが大きな特徴になっています。
 講演後に行われたグループ毎の研究協議では、教員の働き方改革が求められる中での新しい研修の進め方として参加者の大きな関心を集め、教員研修に関する課題の共有や意見交換が積極的に行われていました。令和6年度には、山梨県教育委員会や新潟県柏崎市、妙高市、糸魚川市において同プログラムによる研修が行われましたが、今後、他の教委育委員会においても地域の実態に応じた研修が展開され内容が更に充実することが期待されています。
 なお、同研究協議会には、教科書研究センターの髙木まさき統括研究監と新津勝二事務局長・副館長が出席しました。  

【榊原教授のコメント
 教科書研究センターとの受託研究の成果を発表する機会をこのような大きな大会でいただき感謝しています。拡散型研修を受講した教育委員会や学校教員からは、各校の代表者によって共通の内容を下に校内伝達講習が行われるため、研修の意義や方向性が統一された成果を感じているなど高評価を受けていますので、今後は内容を充実させながら全国展開を目指していきたいと考えています。

【研究協議会参加者の感想】
〇研究主任の7割が若手で研修内容に自信を持つことができないという教員が多い中、大学と教育委員会とが連携した画期的な研修プログラムだと思いました。
○教員の働き方改革が求められる中、教員研修の在り方に大きな課題を感じていましたのでとても参考になりました。
○代表受講者が校内研究会の講師となる仕組みなので、オンライン研修といっても気が抜けないですね。
○単発の研修で終わることのないよう、継続性のある研修プログラムも必要だと思います。

講演する榊原教授

みらい教育セミナー「事例で学ぶNetモラル・学校情報セキュリティー」を開催

 4月26日(土)午後、公益財団法人教科書研究センターと国立大学法人大阪教育大学は「みらい教育セミナー」を開催しました。今回のセミナーは、『事例で学ぶNetモラル・学校情報セキュリティー~体験型ワークショップ~』として、広島県教科用図書販売の手塚雄三さん、好本仁朗さんを講師として迎え、大阪教育大学天王寺キャンパスみらい教育共創館で行われました。
 最初に、教科書研究センターの新津勝二事務局長からセンターの紹介とともに、「GIGAスクール構想5~6年目を迎える中、情報化の進展により情報モラルと情報セキュリティの重要性はますます高まってきている。」ことなど本セミナー開催の趣旨説明が行われました。
 次に、広島県教科用図書販売の手塚さんから事例で学ぶNetモラル教材の沿革や事例動画は情報化の進展に応じて毎年バージョンアップしていることなどの説明があり、その後、好本さんから教育現場や子どもたちの現状と課題の説明があり、二つの教材の解説が行われました。
 セミナー後半は、最初に「事例で学ぶNetモラル」教材に関するワークショップが行われ、参加者は小学生の担任としてクラスの子どもたちの現状を踏まえたうえで、アニメーション教材と読み物教材を5つ選んだ年間指導計画を作りました。著作権に特化した指導計画を作るなどそれぞれ工夫を重ねている姿が見られました。 最後に、「事例で学ぶ学校情報セキュリティ」教材のeラーニング教材を使い、学校で起こり得る事例をアニメーションで学んだあと、確認問題で理解度をチェックするワークショップが行われ、フリー素材の使い方や著作権の侵害など学校情報セキュリティの難しさとその重要さを理解する機会になりました。
【参加者の感想】
生徒への情報モラルの指導や、教職員における情報セキュリティに関する周知について課題を感じていたので、たくさんのヒントをいただきました助かりました。
〇アニメーション教材で学ぶことができるので、子供たちの理解を深めることができると思いました。
○子供たちの学習状況が一目で分かる機能もあり、学校で使ってみたいです。

教材の沿革を説明する手塚さん
教材を紹介する好本さん

大阪教育大学みらい教育共創館で行われる「第2回デジタル教科書体験型研修会(ワークショップ)」のお知らせ(2025年5月17日)

2025年5月17日(土)13:30~より、大阪教育大学「みらい教育共創館」にて、教科書発行者と連携してデジタル教科書の体験型研修会を実施いたします。このセミナーは、現職の教員、教師を目指す学生、そして教育関係者を対象としています。

<申し込み方法>
大阪教育大学みらい教育共創館みらい教育セミナーのページより、お申し込みください。

大学院生の教科書研究論文助成事業優秀賞の表彰式~教科書研究センター助成事業の成果発表~

 公益財団法人教科書研究センターは、3月19日(水)に開催した理事会において、令和5年度大学院生の教科書研究論文助成事業優秀賞の表彰式を行いました。
 令和5年度教科書研究論文の助成者11名の中から優秀賞に選考されたのは、国立大学法人奈良教育大学教職大学院の井上岳海さんで、表彰式の前に論文概要についてのプレゼンが行われ、その後たくさんの質問が出されました。
 受賞した井上さんからは、「卒業式前に、自身の研究を皆さんに聞いていただくことができて本当に良かったです。これから研究を進めて行くにあたって、ご指摘いただいたことを踏まえたいと思います。また、現場に出たときにも今回の経験を活かして、持続可能な社会の創り手を育成します。」と感謝の言葉と今後の抱負が述べられました。
 なお、教科書研究センターの助成事業で優秀賞を表彰するのは今回がはじめてのことであり、今後、教科書等に関する研究がさらに充実することが期待されています。

(受賞論文)「中学校社会科歴史的分野における教科書の改善案の検討~埋蔵文化財を活用したESDの視点から~」(国立大学法人奈良教育大学教職大学院 井上 岳海 氏)

理事会でプレゼンをする井上岳海さん
表彰状及び副賞の授与
記念撮影(左から清水潔副理事長、井上岳海さん)

国立大学法人兵庫教育大学との包括連携協定の締結について~革新的な教職科目の汎用化に関する実施連携~

 公益財団法人教科書研究センター(東京都江東区)は、3月17日(月)、教員養成フラッグシップ大学である国立大学法人兵庫教育大学と、先導的・革新的な教職科目の汎用化に関する実施連携等を目的として、包括連携協定を締結しました。
 本協定は、両者の包括的な連携のもと、本センターが行っている調査研究事業等の成果を生かして、教員養成の改革や高度化に貢献することを目的とするものです。

(包括連携の内容)

  1. 先導的・革新的な教職科目の汎用化に関する実施連携
  2. 本事業の運営のために設置される、兵庫教育大学教員養成フラッグシップ大学コンソーシアムへの参加・協力
  3. その他、目的達成に必要と双方が合意した本事業に寄与する取組

 本協定の締結を受け、両社それぞれの持つ資源や特性を生かしながら、学校教育における個別最適な教育環境の実現に一層取り組んでまいります。

左:国立大学法人兵庫教育大学 加治佐哲也学長
右:公益財団法人教科書研究センター 白間竜一郎常務理事
兵庫教育大学(左から田中賢一副学長・事務局長、吉水裕也理事、加治佐哲也学長、森山潤教授)
教科書研究センター(左から高木まさき統括研究監、白間竜一郎常務理事、新津勝二事務局長・副館長)

大阪教育大学みらい教育共創館で行われる「事例で学ぶネットモラル・学校情報セキュリティ~体験型ワークショップ~」のお知らせ(2025年4月26日)

 2025年4月26日(土)13:30~より、大阪教育大学「みらい教育共創館」にて、広島県教科用図書販売株式会社の協力の下、「事例で学ぶネットモラル・学校情報セキュリティ~体験型ワークショップ」を実施いたします。

このセミナーは、現職の教員、教師を目指す学生、そして教育関係者を対象としています。

<申し込み方法>
大阪教育大学みらい教育共創館みらい教育セミナーのページより、お申し込みください。

=教科書研究センター・大阪教育大学=みらい教育セミナー「第1回デジタル教科書体験型研修会を開催」

 3月15日(土)午後、公益財団法人教科書研究センターと国立大学法人大阪教育大学は「みらい教育セミナー」を開催しました。今回のセミナーは、『デジタル教科書体験型研修会』として、東京書籍株式会社の佐藤哲治さん、清遠和弘さん、赤松弘章さんを講師として迎え、大阪教育大学天王寺キャンパスみらい教育共創館で行われました。
 第一部として、清遠さんから「デジタル教科書の導入の背景と基本機能」の紹介がありました。第二部では、「学習者用デジタル教科書の体験型ワークショップ」がスタートし、現職教員や教師を目指す学生などの参加者は、持参した端末に研修用のアカウントを入力してデジタル教科書を画面に出し、配付された6つのワークシートの課題に取り組みました。主な課題は、18本の花束を6本ずつ束ねる問題、長方形箱の展開図を作る問題、すきまなくしきつめることができる四角形にはどんなものがあるかなどを考える問題で、講師にアドバイスを求める場面が多く見られました。最後の第三部では、学習者用デジタル教科書を活用した授業の好事例や実証研究の結果が紹介され、子どもたちに自分のペースで使わせることやアウトプットの課題を意図的に設定することなどの活用ポイントが示されました。学習者用デジタル教科書を使って課題に取り組んだ参加者は、活用効果を実体験するとともに、これからの時代に求められる教科書の役割についてあらためて考える機会にもなったようです。

【参加者の感想】
〇デジタル教科書の機能が以前よりも進化していて驚きました。
○算数の授業でデジタルを活用した方が良い場面がとても多いことが分かりました。
○デジタル教科書を開発した教科書発行者の方から直接教えていただける機会はめったにないのでとても良い研修になりました。
○教科の特性によって活用する場面が異なると思うので、他の教科書も体験したい。

【教科書研究センター・新津事務局長の言葉】
 デジタル活用にマイナスイメージを持つ先生方には、今回のようなワークショップを積極的に受講していただきたい。また、著作権やクラウド上のデータ管理の問題があって、大学生は自ら購入しない限り学習者用デジタル教科書を使うことができないので、教員養成系大学と連携してこのような体験型研修会を全国展開していきたい。

ワークショップ全体の様子
デジタル教科書の現状について説明する新津事務局長
デジタル教科書の紹介を行う清遠さん
ワークショップの様子