公益財団法人教科書研究センターの公式ロゴマークが決定しました。

 2026年度に創立50周年を迎える教科書研究センターの公式ロゴマークが、11月1日付で決定しました。コンセプト等は下記のとおりですが、教科書の「見方・考え方」が重要視される中、このロゴも見方や考え方によって二つの形に変化するデザインとなっています。教科書の専門的調査機関としての使命を象徴するロゴマークとともに、今後とも教科書研究センターの活動へのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

コンセプト:変化していく時代、教科書に新しい知と学びの1ページを。

※このロゴは、「教科書研究センターが行う教科書及びこれに関連する教材に関する調査研究や助成の成果等によって、教科書に新しい知と学びの1ページを重ねていく」という理念を象徴的に表現したものです。開かれた教科書に、未来への知識が加わっていく――そんな希望と前進のイメージを視覚化しました。

【開かれた教科書とR】 学びの起点であり、知識の蓄積・共有の象徴。左右非対称のフォルムで「ページをめくる瞬間」の動きを持たせ、新たな1ページへの期待感を表現しつつ、教科書に関する調査研究機関であることを象徴するRを挿入しています。

【新しい1ページの追加】 絶えず更新される教育研究を反映し、色違いのページの組み合わせで描写。これは未来へ向かって伸びていく矢印のようにも見え、希望や発展性を示唆します。

【透明な紙の質感とデジタル感】 教科書のページを“透明な紙”としてデフォルメすることで、アナログとデジタルの融合を表現。教育のデジタル化・先進性にも対応する柔軟な印象を与えます。

【柔らかな角の処理】 書籍の角をわずかにラウンドさせることで、堅実さの中にある温かみや親しみやすさを両立。公共性の高い組織としての信頼感と、幅広い世代への親近感の両方を意識しています。

全国教育研究所連盟研究協議会で「拡散型教員研修プログラム」を発表

 10月31日(金)、長野県松本市で開催された全国教育研究所連盟研究協議会において、公益財団法人教科書研究センターの榊原範久特別研究員(上越教育大学教授)が『校内研修リーダーを育成する拡散型教員研修プログラムの実践~学習者主体の教科書・デジタル教科書活用の研修を中心に~』というテーマで講演を行いました。

 2日目の研究協議会に登壇した榊原教授は、令和6年度から行っている教科書研究センターの受託研究事業成果として、「拡散型オンライン教員研修プログラム」を開発し、平成7年度の実績では、静岡市、柏崎市、妙高市、糸魚川市、海士町教育委員会と連携しており、研修実施後の効果測定を含めた実践を発表しました。具体的には、大学と教育委員会が連携して研修計画を立案し、各学校等の代表者を対象に大学教員がオンライン研修を行います。その研修の受講者が各学校に戻り、大学教員から提供されたスライド資料を下にして校内研修の講師になって教員研修を行い、授業実践への拡散を行うというものです。このプログラムは、大学教員及び教育委員会職員が出張することなく、たくさんの学校教員を対象にした研修を展開することができることが大きな特徴になっています。講演後に行われたグループ毎の研究協議では、教員の働き方改革が求められる中での新しい研修のスタイルとして大きな関心を集め、教員研修に関する課題の共有や意見交換が積極的に行われていました。

 なお、同研究協議会には、教科書研究センターの髙木まさき統括研究官と新津勝二事務局長が出席し、グループ討議にも参加して意見交換を行いました。

【榊原教授のコメント

 このような全国大会で、教科書研究センターとの受託研究成果を発表する機会をいただき感謝しています。拡散型研修を受講した教育委員会や学校教員からは、各校の代表者によって共通の内容を下に校内伝達講習が行われるため、研修の意義や方向性が統一された成果を感じているなど高評価を受けているので、今後は内容を充実させながら全国展開を目指していきたいと考えています。

【研究協議会参加者の感想】

〇いろいろな経験を有する受講者に合わせた研修にする必要があるため、スライド資料の提供はとても助かります。アレンジしていろいろな研修で活用したいです。
〇オンライン研修ではグループ討議をしても限界があると感じていたので、とても良い仕組みだと思いました。

研究成果の発表を行う榊原先生

分科会の様子

千葉県教科書販売株式会社及び取次書店24名が教科書研究センターを訪問 ~今後の教科書の在り方等を考える研修会~

 公益財団法人教科書研究センター(東京都江東区)は、10月16日(木)午前、千葉県教科書販売株式会社(教科書特約供給所)及び取次書店の訪問を受けました。訪問団は、千葉県内の児童生徒のために教科書を学校に始業式前などに確実に届ける、いわゆる「完全供給」している取りまとめの会社と、各地域の拠点となる取次書店の代表者の集まりで、研修会の一環として同センターを訪問したものです。

 研修会では、新津勝二教科書研究センター事務局長が、「情報活用能力の育成~変化の激しい時代の中で生き残るために」をテーマに1時間ほど講演を行いました。新津事務局長は、文科省で長年勤務した中で、教科書の無償給与制度と拡大教科書の制度化にも携わった経験があることから、その当時のことを懐かしく振り返るとともに、「法律上努力義務ではあるものの、全ての教科書発行者が拡大教科書を制作していることや、教科書の単価には、教科書を学校に届けるための予算も入っていることなどが、世間にあまり知られていないのは残念なことであり、そのことを周知していきたい・・」と、元担当者としての思いを参加者に伝えました。このため、講演後に行われた質疑応答では、ハイブリッド教科書の具体的な仕組みや内容、海外の教科書事情など多岐に渡る質問が出され、貴重な情報交換の場となりました。

 その後一行は、教科書図書館の見学を行い、普段から教科書を取り扱っている参加者が多いだけに、検定前の白本や見本本、そして、教科書や教師用指導書を手に取って担当者に鋭い質問を投げかける場面も多く、とても充実した機会となったようです。

【新津事務局長のコメント】 
 教科書研究センターは、来年度創立50周年を迎えますが、教科書特約供給所及び取次書店の皆さんがセンターで研修会を行うことははじめてのことで、とてもうれしい訪問となりました。ハイブリッド教科書の制度化など、今後の教科書の在り方が問われている中、教科書の完全供給を引き続き目指すとともに、取次店としての新しい学校支援の“かたち”を考えていただくことを期待しています。

【千葉教販会篠田幸一郎会長のコメント】
 研修の一環としてはじめて教科書研究センターを訪問しましたが、インターネット上で知る情報以上に、やはり対面で説明していただくことより深く理解することができました。質問したいこともたくさんあったので、このような機会をまた設けたいと思います。

研修会の様子

検定本の見学

教科書を手に取る研修参加者

24名の参加者と新津事務局長

康軒文教及び龍騰出版社(台湾)が教科書研究センターを訪問 ~デジタル教科書の活用等に関する意見交換~

 公益財団法人教科書研究センター(東京都江東区)は、9月24日(水)午後、台湾の大手出版社である康軒文教と龍騰出版社の一行を迎え、デジタル教科書の活用や今後の教科書の在り方などについて意見交換を行いました。この訪問は、昨年12月、台湾で開催された「国際デジタル教科書フォーラム」に参加したことをきっかけにして行われたもので、およそ1年ぶりとなる再会を喜ぶ姿が随所にみられました。

 訪問団は、康軒文教の黄輝鐘 社長、李良娉 副社長,林柏任 副社長、潘自強 本部長、陳珮晃社長補佐、蔣旻曄顧問、龍騰出版社の李彥熹会長、陳美妃社長、蔡欣樺本部長の9名で、センターからは、千石雅仁理事長、白間竜一郎常務理事、髙木まさき統括研究監、新津勝二事務局長・副館長、小滝恵子庶務主任が出席しました。

 意見交換会は、千石理事長の歓迎挨拶からはじまり、黄社長と李会長からは、国際デジタル教科書フォーラムへの参加に対するお礼とともに、台湾においてもデジタル教科書を含む今後の教科書や教材の在り方についての関心が高まっていることなどの説明がありました。一行は、記念撮影後に附属教科書図書館に移動して、図書館職員からの説明を受け、検定前の教科書や見本本のほか日本の教科書や教師用指導書などを直接手に取り、教科書の構造や表紙の工夫などについて、台湾の教科書と比較する場面もみられました。

 その後、会議室に戻った一行は、新津事務局長から、教科書研究センターの紹介とともに、「日本における教育情報化の現状と課題」をテーマにした説明を受けました。その中では、デジタル教科書の活用とその効果、教科書の体様や単価、教科書研究センターの運営などの質疑応答が行われ、両国における政府の支援と子供たちの変化についても、活発な情報交換が行われました。

 最後に、千石理事長から、今回の訪問に対する感謝の言葉と再会の約束が述べられ、訪問団は笑顔とともに教科書研究センターを後にしました。

お土産交換する黄社長、李会長と千石理事長

教科書図書館を見学する一行

教科書の表紙に驚く一行

笑顔の集合写真

センタービル前の集合写真

「情報活用能力の抜本的な向上へ向けた教科書の構造的な理解とデザイン講座」を開催!

 8月30日(土)午後、公益財団法人教科書研究センターは「みらい教育セミナー」を大阪教育大学天王寺キャンパスで開催しました。今回のセミナーは、『情報活用能力の抜本的な向上へ向けた教科書の構造的な理解とデザイン講座』として、同センター特別研究員の信州大学教育学部准教授の佐藤和紀准氏、山梨大学教育学部准教授の三井一希氏、京都教育大学教職キャリア高度化センター講師の大久保紀一朗氏、3名の講師によりワークショップ形式で行われました。

 最初に登壇した大久保先生はワークショップ前の導入として、子供たちが多様化する中で紙ベースの一斉授業は限界になってきていることから、ICTも活用して個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実することが必要であること。そのためにも、子供たちが自分で教科書を読み解くことが必要で、教科書から情報を取り出し、関連付けることができるよう指導することが重要であるなどの講演を行いました。

 次に、佐藤先生の進行の下で、小学校社会教科書の紙面コピーを使った教科書読解の意味と意義を体感するワークショップが行われました。参加者は、見開きの教科書の中には、本文やめあて、解説、学習問題などがあるほか、写真、挿絵、グラフなどもあり、連続型テキスト(文章)と非連続型テキスト(図表絵グラフ等)を正しく対応づける読解力が必要であることなどについて理解を深めました。さらに、深い学びと教科書読解や情報活用能力の関係性についても学び合いました。

 次に登壇した山梨大学の三井先生は、「インストラクショナルデザイン(ID)」という学習理論を中心にしたワークショップを行いました。IDとは、教育活動の効果・効率・魅力を高めるための手法を集大成したモデルで、学習者が学習目標になるべく短時間で到達すること、さらに「もっと学びたい」という気持ちで終わるようにするというもので、その教育活動の目的を達成するためには、教師が学びを支援することが大切だということです。参加者は、前出した社会教科書の紙面を使った「授業デザイン」について、どのような動機付けをしたら良いかについてお互いの考えを話し合い、学習目標を明確化することで、児童生徒のゴールイメージを持たせることが重要であることを学びました。

 最後に、大久保先生からまとめと振り返りが行われ、深い学びに繋げるためには、学習材(教材)の前後の繋がりにも着目することが重要であることなどが示されました。参加者は、今回のセミナーを通して、新しい授業デザインに関する理解を十分深める機会になったようです。

【ワークショップ参加者の感想】                          〇もっとお話を聞きたいと思うほどあっという間に過ぎた2時間でした。今までの教科書の使い方がいかに足りていなかったかが分かりました。2学期からは教科書の読み方を子どもたちといっしょに私も進めていきたいと思います。                   ○子どもたちの学びは学校の学習だけでも充分に向上できると感じているので、明日からすぐに学校として実践していきます。                         ○子どもが主体的に学ぶ授業について考え続けています。そのために教科書を読み解く力は必要だということ、その力は授業でつけていくのだということがよく分かりました。

ワークショップ前の講演を行う大久保先生

ワークショップを進める佐藤先生

授業デザインについて説明する三井先生

第5回デジタル教科書体験型研修会(国語編・光村図書出版)を開催 ~模擬授業で学ぶ!明日から使えるデジタル教科書活用術~

 8月29日(金)午後、公益財団法人教科書研究センターは「みらい教育セミナー」を、大阪教育大学天王寺キャンパスで開催しました。今回のセミナーは、『第5回デジタル教科書体験型研修会(国語編)』として、光村図書出版株式会社の西村智子さん、西山直志さん、諸星奏希さんを講師及びサポーターとして迎えて実施されました。          

 冒頭、教科書研究センターの新津勝二事務局長から、「デジタル教科書の使い方が分からない。」「どのような機能があるのか使ってみたい」といった先生方や、教師を目指す大学生に直接体験していただくことで、その特性や意義を一緒に考える機会を拡げていきたい、との開催趣旨が述べられました。

 続いて、この春まで中学校「国語」教科書の編集長を務めていた西村智子さんから、デジタル教科書をめぐる現状と課題について説明があり、その後、「模擬授業で学ぶ!明日から使えるデジタル教科書活用術(国語編)」と題したワークショップが行われました。参加者は、小学校6年「『鳥獣戯画』を読む」のデジタル画面を端末に表示し、西村さんのデモを参考にしながら、スクロール機能によるページまたぎの解消、分かち書き(語の区切り)、拡大・縮小や色の反転などのカスタマイズ機能を体験しました。さらに、後半にはデジタル教材についての紹介も行われ、教科書の本文や図・写真をドラッグして抜き出し、整理することができる「マイ黒板」機能を実際に操作しました。「マイ黒板」にまとめることで、自分の考えを可視化・整理できるだけでなく、隣同士で画面を見せ合いながら意見を伝えるなど、協働的な学びにつながる場面も見られました。

 今回のセミナーは、学習者用デジタル教科書や教材を自ら体験することで、国語教育においてもデジタル教科書が、個別最適な学習や協働的な学びに有効であることを実感できる研修会となりました。

【参加者の感想】                                 ○個別最適な学びの具体像が分かり、大変有意義な時間となりました。         ○大学では使ったことがなかったので、デジタル教科書の利便性を実感できました。またこのような研修の機会があれば、積極的に参加したいです。               ○国語の学習者用デジタル教科書を使った授業をしてみたいと思いました。       ○実際に体験してみると、学習者用デジタル教科書は子どもたちにとって非常に有用なツールになるということが、とても良く分かりました。

デジタル教科書について説明する西村さん

研修会場全体の様子

「学習者用デジタル教科書(算数・数学)の活用等に関する調査研究発表会」を開催

 8月28日(木)午後、公益財団法人教科書研究センターは「みらい教育セミナー」として、『算数・数学の学習者用デジタル教科書活用と授業づくり等に関する実証的研究報告会』を開催しました。会場は大阪教育大学天王寺キャンパスで、多くの教育関係者及び教師を目指す大学生が参加しました。この発表会は、同センターから3年間の調査研究委嘱を受けた3つの国立教員養成大学が、2年目の成果や課題について情報共有することにより、調査研究をさらに充実・発展させることを目的として開催されたものです。

 最初に登壇した北海道教育大学の石井洋教授と後藤泰宏理事からは、デジタル教科書を用いた授業の試行と児童の意識に関するアンケート結果が発表され、図や表、グラフを活用することで、児童が自身の考えを視覚的に整理・表現する助けとなっていることや、アニメーションやシミュレーション機能が肯定的に受け入れられていることなどの報告が行われました。さらに、教師の活用状況と意識調査では、紙とデジタルを併用するハイブリッド型授業の必要性などが明らかにされました。 

 次に登壇した上越教育大学清水雅之教授と岩﨑浩教授からは、学校現場からのリアルな使用感として、ボタン配置と機能がわかりづらいこと、ペンツールでの文字の書きづらさやデジタル定規の使いづらさ、コンテンツ量が少ないなど多くの課題があることの説明がありました。その一方で、練習問題・復習の場面における活用では、個別最適化された習熟学習などに非常に有効であること、さらに、筆算の手順など動画コンテンツの有効性についても報告があり、デジタル教科書活用の効果と課題が示されました。

 最後に登壇した福岡教育大学有元康一教授と清水紀宏副学長からは、調査研究校における実践事例の紹介と、授業後のアンケート結果が生徒のコメントとともに紹介されました。関数学習におけるアニメーション機能及び空間図形学習におけるシミュレーション機能が個別学習や協働学習において効果的であった一方で、内容によっては思考を深めるうえで限界があることも示されました。また、調査研究協力校における効果的な活用事例の提案として、教員を対象にして実施されたオリエンテーション研修についても報告があり、学習者用デジタル教科書の機能について一定の理解が得られたものの、授業の見通しについて課題が見られる結果になったことが示されました。

 後半に行われた行われたパネルディスカッションでは、髙木まさき教科書研究センター統括研究監による進行の下、3大学及び参加者間で質疑応答が活発に行われ、デジタル教科書の効果的な活用を図るための授業設計と教員研修に関する成果や課題を共有するとても貴重な機会になりました。

【参加者の感想】
 算数・数学教育とICT活用を研究する上で、とても役に立つセミナーでした。いろいろな実践事例を紹介していただき、子どもたちが考えることを何度も繰り返して答えにたどりつかせるような授業をしたいと思いました。

発表会全体の様子

パネルディスカッションの様子

若手研究者教科書研究助成事業スタートアップミーティングを開催 ~教科書研究者の育成と教科書研究の振興~

 公益財団法人教科書研究センターは、5月26日(月)午後、令和7年度若手研究者に対する教科書研究助成事業助成対象者8名及び審査委員によるスタートアップミーティングを開催しました。この助成事業は、若手研究者による初等中等教育の教科書及びこれに関連する教材についての研究に対する助成を行うことにより、教科書研究者を育成し、もって教科書研究の振興を図ることを目的としています。
 スタートアップミーティングは、助成対象者がこれから行う研究の概要をオンライン上で発表した後に、各専門分野の審査員がコメントする方式で行われました。それぞれの発表が終わった後には、総合審査委員である髙木まさき教科書研究センター統括研究監、堀田龍也東京学芸大学教授、天笠茂千葉大学名誉教授それぞれから全体を通した講評が行われ、最後に、中川哲教科書研究センター研究顧問から激励の言葉が伝えられ、閉会となりました。
 今回のミーティングは、研究概要を発表した8名の若手研究者にとって、教科書研究を進める上での貴重な助言を得るとても良い機会になりました。

【堀田龍也総合審査委員の講評】
 多様性が求められる教育を支えていく中で、初等中等教育における教科書等のこれからの在り方や有効な活用の仕方、加えてそれが子供たちの資質向上につながるような形で研究のアウトプットをしっかりと収めていただきたいです。
【天笠茂総合審査委員長の講評】
 今日発表した内容について、ご自身の問題意識や研究の仮説というような形で表現していただくと、研究をもう一段深めていく、あるいは焦点化することになると思います。実際の授業場面において、研究やその成果がどのように生かされるのかどうか、学習者の視点として良い教科書とは何かについても意識して研究を進めて欲しいです。さらに、教科書研究を一層深めるためにも、8名の研究者間のネットワークを作ってください。

《助成対象者及び研究テーマは以下のとおり》
●プロジェクト研究
川本渚凡氏(東京外国語大学)
「小中・中高連携を促進する英語デジタル教科書の在り方に関する基礎研究」
濱田活仁氏(弓削商船高等専門学校)
「小中高等学校の外国語科教科書におけるデジタル教材の拡張性に関する調査研究  ~学習者の適正に応じた主体的な活用に向けて~」
●個人研究
大林要介氏(岩手大学)
「米国教科書との比較に基づく日本の技術教育における思考活動の特徴」
椎谷千秋氏(埼玉大学)
「中学校家庭科教科書における食文化学習の教育的意義の検討 ~和食題材に焦点を当てて~」
嶋俊樹氏(筑波技術大学)
「視覚障害者用教科書の活用状況と課題について ~社会科における点字教科書と拡大教科書を中心に~」
申智媛氏(帝京大学短期大学)
「韓国の『AIデジタル教科書』の特性と導入初期における教師の実践経験に関する研究」
林康成氏(山梨県立大学)
「初等、中等教育において科学技術を倫理、法、社会の動向から議論するための日英理科教科書のELSIに関わる言説分析」
渡津光司氏(宮城教育大学)
「教科書分析を通した中学校技術科と高等学校情報科との接点に関する研究」

スタートアップミーティングの様子

「第3回デジタル教科書体験型研修会~社会編(日本文教出版)」を開催します。(6月28日(土)午後・大阪教育大学天王寺キャンパス)

 3回目となる「デジタル教科書の体験型研修会」を大阪教育大学天王寺キャンパスで開催します。現職教員はもちろん、教師を目指す学生及び教育関係者も参加対象になっていますので、この機会に最新のデジタル教科書を体験してください。「使う必要性を感じない・・」などと言う前に、まずは一度触ってみませんか。


【参加申込方法】
 チラシの二次元コード等又は以下の大阪教育大学みらい教育セミナーのページより、お申し込みください。
第3回デジタル教科書体験型研修会~社会編(日本文教出版)~ – 大阪教育大学 みらい教育共創館

みらい教育セミナー「第2回デジタル教科書体験型研修会」を開催  ~啓林館・理科~

 5月17日(土)午後、公益財団法人教科書研究センターと国立大学法人大阪教育大学は「みらい教育セミナー」を開催しました。今回のセミナーは、『デジタル教科書体験型研修会』として、新興出版社啓林館の橋本竜夫さん、福尾浩さん、田中直樹さんを講師として迎え、大阪教育大学天王寺キャンパスみらい教育共創館で行われました。
 最初に、教科書研究センターの新津勝二事務局長からセンターの紹介とともに、デジタル教科書に関する現状報告があり、啓林館の橋本さんからは、教科書発行者としての基本的な考えとともにデジタル教科書は教科の特性によって活用場面が異なることなどの説明がありました。
 次に行われたワークショップでは、啓林館の田中さんからデジタル教科書に関する基本操作やアイコンに関する詳しい説明があり、参加者は紹介された学年別のおすすめ活用術を選んでいろいろなコンテンツを体験しました。特に、学習者用デジタル教材はもちろんのこと、授業準備や観察の安全指導に役立つ教師用コンテンツや単元の学習内容に関するおまけコラムなどに注目が集まっていました。また、質疑応答の場面では、参加者から活用方法に関する質問やデジタル教科書についての要望や感想などが述べられ、教科書編集やデジタル教科書の開発に携わってきた福尾さん、橋本さんによるより詳しい解説があり、セミナーはアットホームな雰囲気の中終了しました。
 中教審の下で「デジタル教科書活用ワーキンググループ」による中間報告が公表され、ハイブリッド教科書など新しい教科書の在り方が検討されている中、教科書研究センターとしては、他の教科書発行者の協力によるこのような体験型研修会を今後も開催する予定です。
 【セミナー参加者の感想】
〇自ら活用体験することでデジタル教科書をもっと活用したいと思いました。
○デジタル教科書の研究をする上でとても役立つ研修会でした。
○実験事故のニュースがよく放送されるので、実験動画の活用など安全指導に役立つコン テンツも知ることができて良かったです。
○温度計の使い方を確認するためのフラッシュカードや鏡で光を反射させて的に当てるゲームなどのシミュレーション機能も学びのコンテンツとして効果的だと思いました。

基本操作の説明をする田中さん

アイコンについて説明する橋本さん